「昨今のゲーム教育における技術環境と学生事情」
馬場 保仁氏(以下、馬場):僕らはこの『ゲームの教科書』を9年前に書きました。ゲーム業界を目指す人が増えれば良いなと思い、手に取りやすい形で、且つ、中高生向けの新書として出版し、実際に読んで業界に入ってくれたクリエイターもいました。
ただ、こういった書籍を出した以上、アップデートしていく責任もあると思っています。この先のゲーム業界に向けて、この本を出してから10年近くが経つ今、改めて「ゲームを学べる環境」「企業の中で活躍していくこと」を真剣に考えないといけないという背景が今回の対談につながるんだけど、ちょうど本を出した頃から、山本は大学や専門学校でゲームを教えはじめていたよね?
山本 貴光氏(以下、山本):そうだね。その頃からでした。以来10年ぐらい、ゲームの作り方を教えてきた勘定です。
馬場:今はプロ契約としても活躍していますが、いわゆる教育機関として、これまで教えてきていた中で良いところや気になったところをまずは教えてもらえますか?
山本:学校の良いところは、一種の強制力が働く状態でゲームを開発できる点です。もちろん同人活動のように有志で集まってつくってもいいんだけど、その場合は自発的にやり抜けるかどうかが大きな課題になる。
学校の場合、作ることへの強制力が働くし、先生からしっかりチェックしてもらいながら開発できるのは得難い経験だと思います。しかも企業での開発と違って、学校は失敗が許される環境です。技術面ではUnityやUnreal Engineのようなツールも出てきて、ゲーム制作のハードルがグッと下がりました。
ツールを使わずに作る場合、企画を立ててからプログラムを実装するまで、それなりの時間がかかっていたわけです。ゲーム制作で上達するコツは、作ってみて「あれ、思ったほど面白くないぞ」と気づいてそれを直すというサイクルを繰り返すことです。
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